薬膳の基礎知識 [ 会員専用 ] 




中医薬膳は、健康増進や病気の予防・治療・回復などを目的としています。薬膳の内容は、中医学の理論に基づき適切な食材や中薬を用い、気血津液を補い正気を補養し、抵抗力をつけ病気の原因である邪気を取り除き、陰陽のバランスをとる方法などを用います。


 正気を補養し、免疫力を高める薬膳

栄養学では、健康を維持・増進するために食物中にある炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を過不足なく多様な食品から摂取することが重要であると考えていますが、中医薬膳では人体を構成し、臓腑・組織・器官の機能活動に必要な重要物質である精・気・血・津液を食物からとり、生理機能を促進させるとともに、正気を補養し免疫力を高め病気にならない健康な身体をつくると考えています。

身体を補養する方法
  内 容 食 材 中 薬
補気 各臓腑の生理的な機能を促進し、体力を増強させるなどの働き うるち米、もち米、山芋、じゃが芋、人参、いんげん、南瓜、椎茸、豆腐、鶏肉、牛肉、うなぎ、鶏卵 朝鮮人参、黄耆、西洋人参、大棗
補陽 内分泌機能とエネルギー代謝などの異常を調整する働き 栗、胡桃、にら、えび、なまこ、鹿肉、羊肉、ウイキョウ、八角、
生姜、山椒
丁香、冬虫夏草、
杜仲、淫羊藿
補血 全身に栄養を与え、造血機能を促進するなどの働き 黒豆、ほうれん草、人参、ライチ、松の実、豚肉、牛肉、豚牛羊レバー、スッポン、鶏卵、まながつお 当帰、熟地黄、何
首烏、白芍、枸杞
子、桑実
補陰 体液を補充し、また、全身に栄養を与えるなどの働き 百合根、白きくらげ、梨、葡萄、牛乳、鶏卵、豚肉、スッポン、いか、帆立貝 枸杞子、桑実、麦門冬、玉竹、黄精
女貞子、百合


 邪気(病気の原因)を取り除く薬膳

体質、季節、年齢、環境などさまざまな要因によって病気になります。それぞれの症状に対し、食材や中薬のもつ効能を使って治療します。

<病気に効果のある食材と中薬
効 能 特徴・症状 食 材 中 薬
辛温解表類 寒い季節の風邪に。寒気、発
熱、鼻水、頭痛などの症状
生姜、ねぎ、芥子菜、
香菜、紫蘇、茗荷
桂枝、紫蘇、生姜、葱白、芫すい
清熱類

寒涼性で清熱作用。発熱、口が渇く、汗が出る セロリ、胡瓜、苦瓜、トマト、西瓜、豆腐 茶葉、山梔子、竹葉、
金銀花、緑豆、荷葉
利水滲湿類 利尿により体内に蓄積された水を排泄。むくみ、尿痛 冬瓜、白瓜、小豆、はと麦、玉蜀黍 茯苓、車前子、冬瓜皮、赤小豆、玉米鬚
消食類 脾胃の機能を強め、消化を促進。食欲不振、吐気、嘔吐 大根、かぶ、大麦、おこげ、山楂肉 山楂子、麦芽、穀芽、
萊菔子、鶏内金
理気類 気機の流れを良くし、鬱を解消。行気、解鬱、止痛、健胃 らっきょう、そば、ゆず、ジャスミン 陳皮、枳実、仏手、茘枝核,薤白,玫瑰花


 陰陽のバランスを整える薬膳

中医薬膳には、「天人相応」すなわち、人も自然界の一部であり、自然界の原理と人間の原理は相応しているという考え方があり、季節の薬膳は四季の陰陽に合わせるようにします。

<季節の薬膳 陰陽の関係と使用される食材と中薬
季 節 陰 陽 性 味 用いたい食材 注意点
陰が徐々に弱く、
陽が強くなる
(陰消陽長)
温性・涼性
辛味・甘味・適度の
酸味
肝を補養:牛乳、豆乳、卵、胡麻
行気:そば、大根、せり、セロリ
陽気を発散:ねぎ、生姜、紫蘇
苦味 
酸味 
陽気が最も強く、陰が弱まる
(陽盛陰生)
寒性・涼性
鹹味、酸味・適度な
苦味
清熱解暑:胡瓜、茄子、トマト、
苦瓜、もやし、西瓜、緑豆、緑茶
補気・生津:穀類、豆腐、果物
冷い物
辛味 
苦味 
陽盛から陰盛に
変る時期
(陽消陰長)
涼性・温性
酸味・甘味
潤燥止渇:白きくらげ、蓮根、
白胡麻、豆乳、豆腐、鶏卵、百合根
補肺補気:山芋、鶏卵、牛乳、蜂蜜
苦味 
辛味 
陰が盛んで、
陽が弱くなる
(陰盛陽消)
温性・熱性
辛味・甘味・酸味・
適度な鹹味
補腎:黒胡麻、鶏卵、ムール貝
補陽温裏:海老、にら、肉桂、辛子
風邪予防: 白葱、生姜、紫蘇
鹹味 
苦味 


   ☆陰陽消長のイラスト