薬膳の基礎知識 [ 会員専用 ] 




肝は春の草木のように伸びやかに成長することを好み、上昇・発散させる性質があります。肝は強く、肝気は激しく動くので「剛臓」と呼ばれています。 肝は胆汁を作り、胆に貯蔵する相互関係があります。肝と胆は「表裏関係」があります。肝の働きを肝気、胆の働きを胆気といいます。


  肝の主な生理機能

肝が行う重要な生理機能には、気の機能を調節し、消化・精神・気血の運行を行う「疏泄作用」と血を貯蔵して全身の血液循環をコントロールする「蔵血作用」があります。何れもストレスや緊張を緩和してスムーズに機能するよう働いています。

疏泄を主る ①精神情志を調節


肝の疏泄機能が正常だと心と連携して精神活動を担います。自己調節が効き、精神安定、明るい性質、緊張を緩和、安眠などに働きます。

②気機(気の運動)
 の調節
気の流れをスムーズに巡らせ、気・血・臓腑の働きを正常にし、血液循環をよくします。また、水の代謝を順調に行い、むくみや痰を解消します。

③消化と吸収を促進 脾胃の消化機能を正常に保ち、胆汁の分泌により、脾と胃の消化と吸収を助ける作用を促進させます。

④女性の排卵と生理を順調にする働きがあります。

蔵血を主る ①血液を貯蔵
脾により水穀精微から血液を生成し、肝に貯蔵します。

②血量を調節 安静時は血を肝内に貯蔵し、運動時には血を各部位に送り栄養物質を提供し、その結果、目・筋肉・関節などは円滑に動き、各臓腑の機能もよく働きます。


 肝と五行との照応関係


人体と肝の関係 自然界と肝の関係
五行 特徴 五臓 五腑 五竅 五体 五華 五液 五志 五季 五気 五色 五味
成長
伸展

五竅は目肝の機能が正常であるか否かは目に反映されます。
五体は筋筋(腱と靭帯)は骨に付着し、関節と筋肉をつなげる組織です。
五華は爪爪の栄養は筋と同じく肝血から受けます。「爪は筋の余り」といわれます。
肝血の状態を反映します。
五液は涙涙は目から出て、目を潤し保護する作用があります。
五志は怒肝気が不足すると抑鬱状態になり、反対に肝気が過剰になるとイライラしたり怒りっぽくなります。


 肝の生理機能の失調

疏泄を主る機能が失調すると、精神・消化・気血の運行の3つに関係したそれぞれ違った症状が現れます。
イライラや怒りっぽい、肩こり、胃や腹部の痛み、下痢、生理不順など。
蔵血を主る機能の失調は肝血が不足となり、血に関わる症状や肝系統にある目・爪・筋などに症状が現れます。めまい、眼精疲労、目のかすみ、生理不順、こむらがえりなど。


 胆の生理機能

決断を主る 物事を判断し、決断することが胆の働きです。肝の疏泄作用を助け、不要な刺激を防ぎ、精神・情緒を安定させ、精・気・血・津液の正常な運行と代謝を維持する働きがあります。

胆汁の貯蔵と分泌 肝気の疏泄により、肝の精血から胆汁を作ります。胆汁は胆に貯蔵され、消化器官に分泌され、消化機能を促進します。


 肝の働きを良くする薬膳

肝の働きを良くするためには、まず、肝気を発散させ、上昇させ肝血を養うことが重要です。辛味を中心に、適度な酸味・甘味を組み合わせ、温性の食材や中薬を使用します。

肝の働きをよくする食材と中薬
作 用 食  材 中  薬
疏肝理気 そば、菜の花、らっきょう、えんどう豆、ジャスミン、みかん、オレンジ、ゆず、レモン、バラの花 陳皮、玫瑰花、枳殻、薄荷、仏手
養血柔肝 人参、ほうれん草、落花生、ぶどう、レバー、マナカツオ、 いか 当帰、熟地黄、竜眼肉
参考 ①疏肝理気肝気鬱結を疎通・発散させ、気の巡りを改善する。
   ②養血柔肝肝血を補い、肝陰を滋養する。肝機能を改善する。